
あおい
@booklover_aoi
2025年11月21日

生殖記
朝井リョウ
読み終わった
Kindle Unlimited
@ 自宅
2025.11.21読了。
一人称が誰なのかわからないまま物語がしばらく進み、それが誰なのかわかった時に驚きしかありませんでした。
発想がすごすぎる…。
『これまでヒトのオス個体が次世代個体の育成において担ってきた役割は、精子の提供を除けば〝金銭の調達〟以外ほぼ皆無だった、ということです。
つまり、その役割をメス個体が担えるようになれば、あれれ、オス個体って精子以外いらないのでは? となるわけです。今だって、お金の問題さえ解決できればオス個体を切り捨てられる次世代個体育成中のメス個体、結構いますよね。それくらい、生息環境という意味で言えば、この生息地の治安は高レベルで保たれています。
今後ヒトのメス個体がオス個体と同等に金銭を調達しやすい共同体になっていけば、次世代個体育成のために必要なものはヒトのオス個体そのものではなく精子だけ、という〝しっくり〟がもっと広まるでしょう。相変わらずオス個体が金銭調達以外の役割を担おうとしないままならば。』
ぼんやり感じてたことを言語化されて、個人的にはとてもすっきりしました。
上記を認識しておらず、金銭の調達を満足にできないのにメスにも金銭の調達を求め、金銭の調達を満足にできているオスのように性の捌け口を他者に求めたり、上位者として支配的にふるまったりするから、結果として離婚が多いのかな?と思ったりしました。
日々の生活を煩わされるくらいなら、次世代の誕生のための最低限のことだけ提供してくれればよいというのは、確かに理屈に適っていると思いました。
実際はここに愛とか恋とか執着とか嫉妬とか色んなものが絡まり合ってるので、シンプルにはいかないと思いますが。
あと、性別ではなく性質で考えるということも、うっすら思っていたことを言語化してくれていると感じました。
女は体の仕組みとして受け身であるけど、個の性質がそうではない場合に受け身であることに違和感を覚える、というのは確かにあり得るかもな、と。
他にも『そういう考え方もあるのか』というのが随所にあって、終わりまで関心を途切れさせることなく読みました。
これは他の作品も読まないと…!




