
句読点
@books_qutoten
2025年11月30日
アンネの日記 増補新訂版
アンネ・フランク,
深町眞理子
読み終わった
11月の一冊読書会の課題本。読書会の直前に読了。
タイトルだけ知っていて、実際に読んだことのある人は少ない本の代表的な作品の一つではないか。(夏目漱石の『吾輩は猫である』とかもそうだと思う)
自分もこの読書会で初めて読んだ。
結果読むことができて本当によかったと思える一冊になった。ずっと読み継がれている理由がよくわかった。
戦争のことはむしろこの本の背景としてあり、
13歳〜15歳にかけての思春期真っ只中の少女が、
「隠れ家」生活という非日常的な環境の中で、
様々な制約や同居する他の人たちとの葛藤の中で揉まれながら
精神的に成長してゆく様が日を追うごとに実感できる貴重な記録。
読み物としてもとても面白い。13歳の少女による文章とは思えない表現力。(深町さんの翻訳も素晴らしい)
なんとなく女性が読むものみたいなイメージを持っている人も多いかもしれないが、
決してそんなことはなく、思春期以上の老若男女全てが読むべき内容だと思う。
両親への愛情と反発、異性への憧れ、自らの不安や葛藤、将来の夢、日々起こるトラブルにどう対処したか、どう感じたか。「隠れ家」の中で、戦争が終わる日をひたすら待ち侘びながら、日々勉強もし、戦争が終わった後の事を夢想しながら、挫けそうになる自分を、絶望しそうになる自分を書くことで救おうとした少女の記録。読んでいると励まされる文章にも何度も出会う。隠れ家の中での「日常」の繰り返し。時折戦争の気配がするが、基本的には外の世界とは切断されている世界。
支援者の人たちの勇気と優しさにも感じ入るものがある。ミープがアンネの日記を咄嗟に拾い上げて後世に残してくれて、本当によかった。
ナチスドイツによって虐殺されたユダヤ人は600万人以上ともいわれる。
あまりに数字が膨大で、感覚が麻痺してしまう。
しかし、この『アンネの日記』のような作品を読むと、具体的な一人一人の人生や生活について想像することができるようになる。語り残されていないだけで、600万人分の人生の物語があったのだ。それぞれの生活があったのだ。その途方もなさにクラっとしてしまう。
「わたしの望みは、死んでからもなお生きつづけること!」
1944年4月5日の日記。
この望みは間違いなく叶えられている。
また何度も読み返したい作品。
100分de名著での小川洋子さんの解説もとてもよかった。
小川洋子さんの作品も読んでみたくなる。