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@bunkobonsuki
2025年12月1日
未来をつくる言葉
ドミニク・チェン
フランスと日本で育ち、多言語を操るドミニク・チェンの自伝的エッセイ。「わかりあえなさをつなぐために」というサブタイトルから、彼の言語に対する在り方が伺える。
読んでいて印象に残ったのは、著者と幼い娘とのエピソードだ。フランス語を覚えてはいるものの、家では日本語で話す娘。なんとかフランス語を話させたい著者は、「頭をぶつけた衝撃で日本語を忘れてしまった」という理由で娘とフランス語で会話する。そうすることで娘からフランス語を引き出すという算段だ。
この目論見は見事に成功するのだが、成功した理由が「父を助ける」というのだから泣かせる。人の力を引き出すのに必要なのは、将来のためとか、頭脳の発達といった合理性ではなく、人情なのかもしれない。



