
ジクロロ
@jirowcrew
2025年12月2日

ゾウのテウニス
たまむらさちこ,
トーン・テレヘン,
長山さき
読み終わった
【ネタバレ注意】
「ルドヴィクスはものすごく怒っていました。敵の兵士が煮えたぎるタールを背中にかけたんです。壁の上から。ほら、背中に小さな黒いシミがいくつもあるでしょう?やけどの痕なんです」ふたりはルドヴィクスの背中のシミを見た。
「どうして学校ではこのことを教えないんでしょう?」テウニスのお母さんが訊いた。
「はあ・・・・・」監視員が言った。「とてもひかえめなゾウだったんです。自分がとくべつだと思われるのがいやだった。(だれでも我)というのが彼のモットーでした」
「だれでも我?」お母さんが驚いて言った。
「はい」
「どういう意味なんですか?」
「いや・・・・・・・どんなゾウでもあの門を突き抜けることはできたと言いたかったんじゃないかそう考えられています。だから、たいしたことではなかったんだ、と」
「なるほど」とお母さんは言った。
「だれでも我」、そして「門を突き抜ける」。
ゾウとニンゲンの境い目を考えるためのメタファーを、その生き様を通して与えるのが、古代の英雄ゾウ、ルドヴィクス。
「学校ではそのことを教えない」のは、ニンゲンにはルドヴィクスのような偉業が、その生来の性質上果たせないからではないかと思う。
人間には『掟の門』(フランツ・カフカ)を潜れない。