綾鷹 "身近な薬物のはなし" 2025年12月2日

綾鷹
@ayataka
2025年12月2日
身近な薬物のはなし
面白かった。 単に薬物の説明だけでなく、歴史も含めて説明してくれる内容。 特に印象に残ったのは、薬物が単に身体に作用するだけでなく人々の交流の役割を持っていること、社会情勢が不安定なときほど薬物に依存する人が増えるということ、規制は意味をなさないということ。 また、「薬物の合法/違法の区別には明確な医学的基準は存在しない。」という点は驚いた。当たり前だと思って疑問にも思っていなかった。この本を読むと政府等、システム側の都合で規制・緩和が行われてきたことがわかる。 薬物を使用している、依存している=悪と判断するのではなく、その人の背景を知る必要がある。 ・本書でいう薬物とは  薬物とは、脳に作用する薬物全般を指していて、私たちの精神活動に影響を与える化学物質の総称 ・最大規模の薬害、ー依存症を含むーは、ほぼ必ず合法な製品により引き起こされるという事実は、繰り返し、そして「選択的に」忘れられている ・人類に最も大きな健康被害をもたらしている薬物:ビッグスリーは、アルコール、タバコ、カフェイン ・ビッグスリーほど深刻な問題をもたらしていないにもかかわらず、厳しい規制の対象とされてきた薬物:リトルスリーとして、アヘン(オピオイド類)、大麻、コカの三つが挙げられている ・薬物の合法/違法の区別には明確な医学的基準は存在しない。むしろ文化的にメジャーな潮流にあるのかどうか、税収や大企業の後ろ盾があるのかどうか、さらにいえば、政治的に優勢な層がその薬物を気に入っているのかどうかの方が、はるかに重要な影響を与える。 ・ローカルな薬物文化がコロンブスの新大陸発見につづく大航海時代に一気にグローバル化、植民地政策と奴隷労働が、こうした新しいサイコアクティブ・サブスタンス(精神作用物質)の生産能力を一気に押し上げた。 ・薬物には「よい薬物」も「悪い薬物」もなく、「よい使い方」と「悪い使い方」があるだけ ・薬物政策は、薬物を「よい薬物」と「悪い薬物」とに分け、前者の逸脱的使用はないものと考え、後者のみを法規制と刑罰によって犯罪化する、という方法をとってきた。しかし、病気による苦痛を緩和する医薬品もまた、使い方いかんでは依存症をはじめとする様々な健康被害を引き起こす危険性を孕んでいる。 ・悪い使い方」をする人は何か別に困りごとを抱えている。 ・健康と道徳はしばしば混同される(例:タバコ) ・ビッグスリーの共通点は、過去の規制の失敗。いずれの薬物も理不尽な規制や禁止令に遭遇し、さらには使用者や販売者が弾圧されたり、残酷な刑罰が科されたりした時期があった。それにもかかわらず、これらの薬物は屈することなくしぶとく社会に浸透し、最終的に人々の日常生活に実かすことのできない身近な存在となった。(↔︎リトルスリーは規制が成功している) ・人類が薬物を受け入れる順番:宗教的な儀式に際しての神器として用いる→病気を治し、心身の疲労を癒す医薬品として用いる→日々の生活に喜びと潤いをもたらす嗜好品として、庶民の生活に深く根を下ろす。 ・人々は薬物を介して互いに交流し、心の垣根を外してつながりを築き、絆を深め、外敵へと立ち向かうのにかせない連帯感を育む。 ・蒸留酒やタバコが浸透していった背景には、深刻な社会問題があった。たとえば、ジン・クレイズの背景には、産業革命の時代における苛酷な労働環境が、そして喫煙率上昇の背景には、度重なる戦争ー兵士が苛酷な戦場に耐え、政府が戦費財源を確保する必要に迫られるーが無視できない影響を与えた。 ・薬物問題の本質は、「薬物」ではなく、「人間と社会」の側にある。
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