"青い壺 (文春文庫)" 2025年12月3日

@ReadsID2033
2025年12月3日
青い壺 (文春文庫)
ことばの選び方、情景の描き方、人物描写が、映えとか盛るとかいう感性が生まれる以前の、五感を通じた具体的な印象で、 自分の昭和50年代ころの記憶とリンクして、空気の質感や窓から差し込む光、水道の水の冷たさとか庭の土の匂いとかを思いながら読んだ。 必ず同じ青い壺がどこかしらに出てくる14話短編のオムニバス形式。 ガスと薪を使う窯で焼き物を作っている牧田。ある日思いの外よい色が出た壺が、さまざまな人物の思惑から旅することになって、各人物の日常をよぎる。 自分が登場人物の目を持っているような、そんな感覚で読み進められた。 人と人との距離感とそこで各話の主人公が抱く印象やせりふが、昭和50年代頃の真実味を感じさせて、昭和って人が多かったよなと思ったり、戦争から年月がさほど経っていなかったななど、昭和を距離を持って振り返る時間になった。 スマホなどを使わずに、自分の肉体で世界を感じ取っていた頃を思い出した。 最終話、タクシー運転手の話す内容をなぜここに書いたのだろうと疑問がわいた。偶然性について、偶然を作品を書くときにも生かしていて、日常には偶然の出来事が結構あるということを表現してるのかな、と今は思っている。
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