にょろぞう "砂漠の修道院" 2025年12月3日

砂漠の修道院
砂漠の修道院
山形孝夫
エジプトの砂漠の中に建つ修道院に来訪し続けた著者の取材記。全体的に渇いた静謐さが漂い、それが宗教と人心という題材ながらもさっぱりとした客観性を与えていたように思う。 登場する人たちはその大半が社会との繋がりを絶って修道院を訪れた人たちで、その事実の重みは今の日本に生きる私の想像を超えるものだった。 また、修道院や寺を建てる時に選ばれる場所は、その教えが伝来する前からすでに霊験あらたかな場所だという話は目から鱗だった。 一人の日本人が砂漠の中の修道院にてかつて本の中で知った人間と出会った時、それはもう運命と思わざるを得ないだろうなと思う。 余談ではあるが、かつて買ったパピルスでできた栞を挟みながら読み進めていくのは本当に心が躍った。
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