砂漠の修道院

砂漠の修道院
砂漠の修道院
山形孝夫
平凡社
1998年1月1日
3件の記録
  • L
    L
    @mayoibashi
    2025年12月4日
    前の本に引き続き、エジプト繋がりで読んだが、あちらが表向きのエジプトだとしたらこちらはある種裏というか知られざる側面だろうか。 修道士たちの生活史とアラブ圏におけるキリスト教の信仰について。 後半は論文調ではあるもののだいぶ読みやすかった。 以下、メモ。 巡礼の末洞窟に住み着いた初期のコプト教信者は権威の象徴であるピラミッドを見て何を思ったのだろう。 政教一致した土地から離脱したのにここでもまた権力者の所業を見て辟易したのか、それとも内なる悪魔との闘いに向き合っていて俗世なんぞ気にも留めなかったのか。 修道院付近を現在の航空写真で見たら、地表に無数のドットがあった。 センターピボット灌漑というものらしい。 この数十年で砂漠を克服しようとする人類。 ナイル川の西側はもう死者のクニではなくなった、気がした。
  • エジプトの砂漠の中に建つ修道院に来訪し続けた著者の取材記。全体的に渇いた静謐さが漂い、それが宗教と人心という題材ながらもさっぱりとした客観性を与えていたように思う。 登場する人たちはその大半が社会との繋がりを絶って修道院を訪れた人たちで、その事実の重みは今の日本に生きる私の想像を超えるものだった。 また、修道院や寺を建てる時に選ばれる場所は、その教えが伝来する前からすでに霊験あらたかな場所だという話は目から鱗だった。 一人の日本人が砂漠の中の修道院にてかつて本の中で知った人間と出会った時、それはもう運命と思わざるを得ないだろうなと思う。 余談ではあるが、かつて買ったパピルスでできた栞を挟みながら読み進めていくのは本当に心が躍った。
  • モルモ
    モルモ
    @mol_mo
    2025年10月30日
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