
ちびっこ
@chibicco
2025年12月4日
光る夏 旅をしても僕はそのまま
鳥羽和久
読み終わった
前情報無しに店頭で何気なく手に取って何気なく購入した本だったけど、とても良かった。
「まったくあたらしい紀行文学」という意味が、読み終えて腑に落ちたような、まだ理解できていないような、そんな曖昧な感じ。でも、読んでいる時はとても心地良い。
旅先で出会った人、そのやりとりを読んでいると、普段当たり前だと思っていることや、気にもしていなかったことが不意に浮かび上がってくるように思えた。
186P『ハワイの神々の囁き』
旅はトラブルこそが醍醐味なんだから。旅は単に自由だからいいのではなく、安全な日常から解除される感覚がいいのである。すると、痛む心が露出することがある。だからこそ、立ち寄ったカフェで現地の人の思いがけない優しさに触れるだけで、張りつめた心がほどけ、頼りない勇気が静かに燃え始める。街角の路上で老人が奏でるかすれたギターの旋律が耳をかすめるだけで、肺の裏側あたりを掻きむしられるような気分にもなる。
ここを読んで自分の過去の旅でのあれこれを思い出してものすごく頷きたくなった。旅はいい。