mikechatoran "秘儀(下)" 2025年12月5日

秘儀(下)
秘儀(下)
マリアーナ・エンリケス,
宮崎真紀,
宮﨑真紀
おもしろかった。表向きの物語としては闇の力を奉ずる<教団>に利用される父と息子の物語。それと時折挟まれるアルゼンチンの軍事政権時代の話とがどうリンクするのだろうと思いながら読んでいたのだが、なるほどこれは搾取する者とされる者の物語でもあり、搾取される者側から見れば「汚い戦争」時代のアルゼンチンはホラー以外の何物でもなかっただろう。直接そのことを書かなくてもその不穏さを書くことはできる。と同時に死者のあふれるこの物語はあの時代の現実の死者たちや行方不明者たちに思いを馳せ、悼むものでもある。原題のNuestra parte de nocheには人間の悪の部分、アルゼンチンの負の歴史の意味が込められているのだろう。
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