
emu
@emu___0h1s
2025年12月5日
犬のかたちをしているもの
高瀬隼子
読み終わった
つらい、怖い、痛い、しんどい。女であるが故のすべての歪みがそこにあるような、正解のない迷路でずっと彷徨っているような感覚になる。わたしには結婚も妊娠も出産も育児も、今の自分には程遠いような存在で、でもいつか巡ってくるものという印象しかないけれど、本当はしんどいことも痛いことも避けたいし自分で耐えられないとどこかで知っているから、他人事じゃないから、心のなかでしくしく泣いた。わたしもね、犬も猫もうさぎも動物は可愛いけれど人の赤ちゃんは苦手。だから主人公の薫の気持ちが、罪悪感のような痛みと一緒に少しだけ伝わる。
”こんなにしんどいことを、経験しなくちゃいけないんだから、クリアしたことにしてもらわないと割に合わない。”
“子供がほしいのと、子供がいる人生がほしいのは、同じことだって思う?”
子宮をもって生まれること、受け入れること受け入れられないこと、痛みを抱えてそれでも生きていかなくちゃいけないこと。誰もが考えずにはいられない、でも考えないように、言葉にしないように頭から取り払っているような思いを、こうもストレートにぶつけてこられるのが、わたしはとても刺さったしかなり好きだった。




