犬のかたちをしているもの

45件の記録
- 🍻@far_away_2025年8月11日読み終わった「結婚の奴」に引き続いて、恋愛や結婚においての「普通」を問う話だった。とにかく彼氏に終始ムカついたので結果として二人が子供を引き取る形にならなかったことにホッとしたり、でも主人公のように「親はきっと孫を抱けたら喜ぶだろうな」という気持ちがあるのもわかるし、モヤモヤしんどくなりながら読んだ。田舎の描写のディテールの細かさもしんどさポイントある。
- ゆい奈@tu1_book2025年7月19日読み終わった許されることになれている、という言葉がふいに流れてきて、緊張した。これをいったら、きっとこのあと怒られるだろうけれど、最後にはきっと許してくれる、このひとは、大丈夫、そんなふうにして、許されることになれていくと、許されないことへの怒りがわくときがあって、なんて傲慢なのだろうとおもう。 高瀬さんの本を読むと、くるしくなる。このひとは私じゃない、この人はきらいだとはっきりといえる人たちは、どれほどの優しさと愛をもって人に接しているのだろう。どれだけ人を許し、弱さに寄り添おうとしてきたのだろう。わたしはきっと寄り添えない。そんなに綺麗な人間にはなれない。できるだけ許されたくて、だれかに甘えている。
- 蛸足配線@nekoai302025年3月24日読み終わった郁也を引き留めたい気持ちからか、彼に内緒で薬をやめ性交に挑む主人公は、決してロクジロウを愛するようには彼を愛していないように思える。だからこそ、犬を慈しむように愛したいと願うのか。「おれがいないと生きていけない」薫を手元に置こうとする郁也の執着もまた、「犬のかたち」のものに向けられる感情ではないだろう。不首尾に終わった行為のあと背中に残る熱は、「北見さんのお父さん」に一方的に触れられたときと同じく他人から発せられたものだ。男の体しか持たない郁也は、紛れもなく当事者であるにもかかわらず、妊娠や出産に対してはどこか他人事のようで、意思のない人形のようにミナシロと結婚しながらも薫との同棲をずるずると続けている。
- 猫@mao10122025年3月8日かつて読んだ淡白で、リアリズムな文章。赤ちゃんより犬の方が可愛いくて、性行為はあまりしたくない。 『赤ちゃんより犬の方が可愛い』と綴れてしまう、著者の他者に言えないグロテスクな部分を的確に突ける言語化能力には恐慄く。赤ちゃんのかたちをしているよりも、犬のかたちをしている方がかわいいという皮肉。ラストの展開には驚いて声が漏れた笑!人間の身勝手さとグロさが存分に詰まっている。
- nessie@nessieayako2025年3月1日かつて読んだ主人公の女性の犬と人間の赤ちゃんに対する気持ちと比較的似た思いを持っている者として、スっと拾い上げてもらったような読後感。文の構造はとても読みやすくするっと喉をつたってくるのに、どう消化しようかとても迷う話でもある。でもそれがすき。
- 白川みどり@midorishi_2025年2月9日読み終わった愛するとは。その問いに対しての、私の結論と主人公 薫の結論はとても近い。セックスに対して、抱いてしまうものも。だから薫に対して感情移入したし、頁をめくりながら一緒に傷付いて、葛藤して悩んで、放り出された。「子供がほしいのと、子供がいる人生がほしいのは、同じことだって思う?」という問いを残して。薫に共感しながら、同時に郁也やミナシロさんの言っていることも分かるな、と思った。分かるなというか、彼らの選択は彼らのものだと受け入れている自分がいたし、彼らの選択に対して納得していた。この小説の容赦のなさに、傷つく人と救われる人がきっと同じだけいるんだろうなと思う。ひりひりとした、本当のこと。