
DN/HP
@DN_HP
2025年12月6日
@ 図書館
思い立って徒歩で向かった図書館で読んだ今月の『新潮』に掲載された滝口悠生さんの短編が今回も素晴らしかった、というよりも嬉しかったと言ってみたい、読み終わった後にため息の代わりに微笑みが浮かんでいるような、微笑みの端にはいつも少しの哀しみがあるように、少し泣きたいような気もしてくる、そんな風に感動した、作中に出てくるうどんみたいに「柔らかくて優しい」「たとえばケアとかホスピタリティ」のような読後感、と本文を引いてよくわからいままにも言ってしまいたい文章、小説だった。帰り道の足取りはとても軽くて、今日も一日OKになったな、ともう一度微笑んでみた。
読んでいる間はイアホンからEVISBEATSとNagipanのアルバム『萃点』をリピートで流していて。このアルバムも耳に「柔らかくて優し」くて、とてもしっくりきていたのだった。帰り道でそういえば、とこのアルバムのタイトルの由来「南方熊楠が遺した造語『萃点(すいてん)』に由来し、『さまざまな物や事柄が集まり、影響し合う場所』を意味する」を思い出して、ああ、これは、家族や友人、未だ知らない人に死んでいない者がバラバラに温泉に集まる、かれらの記憶や思索、今までに書かれたエピソードが影響しあい重なり溶け合っていくような小説の内容とも合っていたのだな、と納得してまた嬉しくなってきた。
そして今は「ふにゃふにゃと柔らかく滑らかな肌理を持つ」うどんがとても食べたくなっている。









