
橋本吉央
@yoshichiha
2025年12月7日
イン・ザ・メガチャーチ
朝井リョウ
読み終わった
朝井リョウ、怖い。
いろんな切り口があるが、まず仕事に没頭する中年男性に対しては恐怖の書でもあるように思う。自分がやってきたことではなく、「やってこなかったこと」が人生の後半にフィードバックされていくという、本当に恐怖を感じる物語。
社会が複雑化している、というよりも元々複雑であった世界のことが、昔に比べて誰の目にも入ってきてしまう、情報が流れすぎている故に、その全てを見て考えて検討するということがあまりにも難しくなっている。だから視野を意識的に狭めて、そこに自分のリソースをできる限り投入する、その一つのあらわれが現代の推し活なのだ、ということを感じた。
視野を広げること、狭めることというテーマが後半は強く語られるようになっていき、自分を変えようとした久保田がとことん視野を狭めて突っ走っていく。どちらかといえばそれを応援したくなるような読書感があったわけだが、その行為の結果が明らかになって改めて見てみると「あれ?失敗して当たり前ではないか?」と、読み手も視野狭窄に陥っていたことを突きつけられる。マジで恐ろしい視点の転換である。朝井リョウ怖い。
特に、前作生殖記にて、主人公が最後の最後で一歩踏みだすことをしなかった、という結末が印象的だったことと対比して、久保田が一歩踏み出そうとしたことをポジティブに読んだという流れも自分の中にはあった。しかしそこまで含めて見事に絶望的に裏切られたのであった。




