
巽
@Tatumi
2025年12月11日
読み終わった
君は君のうつくしい胸にしまわれた機会で稼動する観覧車 堂園昌彦
振り向いたけれども猫はいなかったけれども君がみたならいいや 宇都宮敦
牛乳が逆からあいていて笑う 普通の女のコをふつうに好きだ 宇都宮敦
旗をふる人にまぎれて旗をふるだれも応援しませんの旗
珈琲を今こぼしたと本出せば砂糖を入れていたかと司書は
人間よビットローファー履かば履け猫は裸足で夜に踏み出す
これっきり私が家を出ていけば困るのは金魚 困るよね金魚
体内に三十二個の夏があり十七個目がときおり光る
永遠の拒食と多食をくりかへす月の童話を書きて眠りぬ
「母は今あたしを捨てに行って留守」十一歳でもうニヒリスト
まなうらに山河激しく吹雪けるを真横に裂きてわが目覚めたり 笹井宏之
戦後うまれしわれにあれども「海ゆかば」歌うことありこころをこめて
骨くらい折っていいのにその指で本のページをめくる手つきで 二階堂奥歯
雲を雲と呼びて止まりし友よりも自転車一台分先にゐる 澤村斉美
底知れぬ謎に対ひてあるごとし
死児のひたひに
またも手をやる
石川啄木
