みっつー "生きる言葉 (新潮新書 10..." 2025年12月13日

みっつー
みっつー
@32CH_books
2025年12月13日
生きる言葉 (新潮新書 1083)
「言葉の力は、生きる力」 と、帯に書いてある。 ゲーム実況(ゲームを録画しながらプレイして、そのストーリーや出来事にツッコミを入れたり、自分の思ったことを喋ったりした動画をYouTubeなどの動画にあげる行為)を始めてから「言葉」というものをすごく意識するようになった。 特段「炎上することが心配」とか「絶対的なワードセンスが欲しい」とかを意識(いや…絶対的なワードセンスは欲しいな…?)しているわけではなく、単純に、自分は今、何について喋っているんだろうと思わされることが編集などで改めて自分の動画を見返した時に増えたように思う。 野球中継の実況を見ていると、打った球がどのように飛んでいったのか、高さは?打球速度は?と、耳で聞いているだけでも分かるように説明してくれるし、更には、今シーズンのオフは誰と練習したのだとか、体重維持のためにおやつを我慢しているとか、前半は調子が良かったのに後半は下がってきてしまったなどの野球選手の小ネタを取り入れていたりする。 それらの情報が入ってくることで、視聴者はその選手に対して「だからあんなに軽やかな守備ができるのか」とか「だから代打専門みたいな扱いになってるのか」とまた補足された情報から新しい言葉を紡ぎ出していく。 言葉というのは、やっぱり生きている。 コミュニケーションにおいて大切なものであるのはもちろん、相手を傷つける凶器にも、相手の心をふっと軽くする処方箋にもなる。 昨今はSNSなどの匿名性の高い場所で、日々、「あれは違う」「これが違う」「こっちが正しい」「それは正しくない」と論争が繰り広げられている。 しかし、言葉も、誰かの思想も、そもそも曖昧なものでいいはずで、文字だけで伝えられた情報が正しいわけでも、切り取られた部分だけが真実なわけでもない。 その前後や、書かれていない余白的な部分が、人と関わる上ですごく大切な要素な気がするするのだ。 何かを発信する前に、もう一度、目の前の文章や言葉に向き合ってから発言することを意識しよう。 改めてそう思わせてくれた本でした。 後半、結構泣いてしまった。 血の通った素敵な言葉の数々だったなぁ。
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