
たなぱんだ
@tanapanda
2025年2月28日

読み終わった
感想
2019年から2023年にかけて、北海道東部で牛を次々と襲ったヒグマ「OSO18」。この本は、その捕獲・駆除作戦の中心にいた NPO 法人「南知床・ヒグマ情報センター」のトップが、自らの体験をもとに記したノンフィクション。
実際に OSO18 を追った中心人物の視点で書かれているため、手に汗握る迫力があった。「なぜ OSO18 の目撃情報がほとんどないのか?」「なぜ OSO18 は襲った牛を食べないのか?」といった謎が次々に提示され、まるでミステリー小説のような読み応えもある。ページをめくる手が止まらなくなる一冊だった。
当時の報道では、「OSO18 =恐怖の巨大ヒグマ」というイメージが強調されていた記憶があるけど、本書を読むとその印象が大きく覆される。OSO18 が牛を襲うようになった背景には、間違いなく人間の影響があったし、そして、「巨大で恐ろしいクマ」というイメージ自体も、人間が勝手に作り上げた幻想であったことが見えてくる。
『死の貝』のようなノンフィクションが好きな人にはもちろん、「北海道でヒグマの被害があったらしい」くらいの認識だった人にも、ぜひ手に取ってほしいと思う。
