yomitaos "嘘と隣人" 2025年12月13日

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@chsy7188
2025年12月13日
嘘と隣人
嘘と隣人
芦沢央
明確な悪意を持った凶悪な犯人による事件……は起こらない。芦沢央の小説に散々騙されてきた人なら、これは周知のことだろう。本書でもその路線は同様で、大抵の事件は保身・取り繕い・誤魔化し・見栄・承認欲求から起こる。それも悲惨なかたちで。 定年退職を迎えた元警察官の主人公が、親切心から関わるのはストーカーやマタハラ・パワハラ、嫌がらせなど、誰しもが経験してしまうような身近な事件ばかり。しかし内実を探っていくと、最初の火種は悪意とも呼べないような小さなできごとから始まっていたことがわかる。 凶悪犯のようなモンスターであれば、「自分とは違う生き物」として切り離して考えることができる。しかし芦沢央の作品に出てくる加害者は、未来の自分だと思えてくる。何だったら、ずっと蓋をしてた過去の自分の姿だったりもする。 仕事で誤発注を誤魔化した経験のある人や、実際の出来事を10倍盛りくらいにしてツイートしたことのある人は、読みながら目を泳がせてしまうかもしれない。心当たりのある人に、ぜひ読んでもらいたい。胃が痛い。
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