
たなぱんだ
@tanapanda
2025年2月14日

涼宮ハルヒの劇場
いとうのいぢ,
谷川流
読み終わった
感想
ネタバレあり
奇抜な設定だけど、まさに「ハルヒ」らしい一冊だった。
第2章までは初期に雑誌掲載されたエピソードなので、ハルヒの言動が初期のトゲトゲした感じそのままで、どこか懐かしさを覚える。時系列的には『溜息』(2巻)〜『消失』(4巻)の間に位置づけられていて、まだ尖っているハルヒのキャラクター像を考えると、この落とし所はしっくりくる。
「フィクションの世界に入り込む」という大胆な設定ながら、根底にあるのは「非日常ではなく、元の日常を選択する」というシリーズを通して描かれてきたテーマ。これは『憂鬱』から繰り返し提示されてきたものだし、今作もまさに「The <ハルヒ> シリーズ」という仕上がりになっている。「エンドレス・エイト」のように長門に負荷がかかる展開も、『消失』前のエピソードとしての説得力がある。
さらに、「分裂」や「天蓋」といったワードをさりげなく入れてくる演出もニクい。 このあたりの細かい仕掛けも含めて、新刊として待った甲斐のある一冊だった。