
hina
@hina13f
2024年12月24日

陳澄波を探して 消された台湾画家の謎
柯宗明,
栖来ひかり
読み終わった
1984年の台湾、駆け出しの画家と新聞記者の二人が、一枚の絵画に出会う。作者が「陳澄波」であることを突き止めたものの、その名は台湾の歴史から消されていた。陳澄波の足跡をたどりながら、絵に託された暗号を解き明かしていくことは、隠されていた歴史の闇を知ることでもあった。
植民地下にあった台湾は、自分で自分の運命すら決められなかった。陳澄波は、日本でも中国でも絵の才能を評価されながら、決して同じ地平に立つことが許されない。それは登場人物の言葉を借りれば、自らの根っこを見失わせる「サツマイモのかなしみ」であった。
それでも陳澄波は、根っこを見失うまいと人生のすべてを賭けて「台湾人」として生きる。出自や思想にとらわれず、台湾の人々が「共に生きる」ことのできる社会を目指した陳澄波の、清廉な生き方に心を打たれる。日本と台湾、そして中国を結ぶ一冊。



