陳澄波を探して 消された台湾画家の謎
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ユウキ@sonidori7772025年11月30日読み終わった借りてきた絵画修復をきっかけに、時代から消されていた画家、陳澄波の生涯を追う歴史小説。中国の文化を色濃く残す台湾の家庭に生まれ、日本統治時代を経験しながら台湾の嘉義、東京、上海で絵を描き続けた澄波はその絵描きとしてのアイデンティティやルーツをそれぞれに持ちながら、その立場が戦局によって揺らがざるを得ず、時代に翻弄されて最後には白色テロで命を落とす。 植民地支配を行っていた日本への感情の複雑さ、祖先の祖国である中国への帰属意識と白色テロでの裏切り、台湾やそこで生きる人への愛情が、そのプロレタリア精神に即して絵を描いてきた人生からうかがえる。澄波の無実と人生を信じ、絵を残してきた妻の捷もすごかった。 台湾での2・28事件から始まる白色テロ、戒厳令下における恐怖政治、時代と大国にアイデンティティを分断されてきた台湾の人々たちのことを思いながら、民主主義の火が台湾から(世界からも)消えないことを本当に祈りたい。
hina@hina13f2024年12月24日読み終わった1984年の台湾、駆け出しの画家と新聞記者の二人が、一枚の絵画に出会う。作者が「陳澄波」であることを突き止めたものの、その名は台湾の歴史から消されていた。陳澄波の足跡をたどりながら、絵に託された暗号を解き明かしていくことは、隠されていた歴史の闇を知ることでもあった。 植民地下にあった台湾は、自分で自分の運命すら決められなかった。陳澄波は、日本でも中国でも絵の才能を評価されながら、決して同じ地平に立つことが許されない。それは登場人物の言葉を借りれば、自らの根っこを見失わせる「サツマイモのかなしみ」であった。 それでも陳澄波は、根っこを見失うまいと人生のすべてを賭けて「台湾人」として生きる。出自や思想にとらわれず、台湾の人々が「共に生きる」ことのできる社会を目指した陳澄波の、清廉な生き方に心を打たれる。日本と台湾、そして中国を結ぶ一冊。










