本屋lighthouse "ダロウェイ夫人" 2025年12月15日

ダロウェイ夫人
ダロウェイ夫人
ヴァージニア・ウルフ,
丹治愛
丹渡さんがダロウェイをテーマに書いた卒論を読ませてもらった。『迂闊 in progress〜』のなかで引用されている本たちが卒論のなかでも生きていて(活きるというより生きるという表現が似つかわしい気がする)、かつ『迂闊』で丹渡さん自身がやっていたことそのものも卒論の根底にあることがわかり、本という形にしてよかったとあらためて思った。 集英社文庫版の訳者・丹治さんは指導教授でもあり、ウルフとはいつかきちんと向き合わねばならないとも思っていて、その土壌がようやく整ったような気もする(ある種のウルフブームのようなものがコロナ禍前からあり、だからこそそのタイミングで自分がやる意味を見出せなかったというのもある)。 文学を読む/書くことによる回復。それは個人的な営みであり、柿内さんのテーマを借りれば「迂遠」なものでもあるが、その即時性のなさ、直結性のなさのようなものこそ私たちが保持すべきもののような気がしているし、個人的な営みが社会を変える(とまではいかずとも維持したり抗ったりする)ことをウルフの『ダロウェイ夫人』は100年の時を経て達成しつつあるのだ、ということもまた丹渡さんの卒論から私が勝手に読みとったことでもある。
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