
yomitaos
@chsy7188
2025年12月16日
フェイク・マッスル
日野瑛太郎
読み終わった
@ 自宅
スポーツとは、そもそもが不平等なものだと思う。筋肉のつきやすさは個人差が大きく、健康的な食事や生活が続けられるかどうかには金が関わってくる。そうして「ナチュラル(ノン・ドーピング)」でベストな体をつくりあげられるのは、限られた人間だけだろう。だから、心身への悪影響を鑑みた上でドーピングに手を出すのは悪いことではないと考えていた。
この小説は、とある男性アイドルに持ち上がったドーピング疑惑を、週刊誌記者が潜入取材で暴いていくという筋書きだ。意外な結末を迎えることへの驚きもあるが、面白いのは、なんとかドーピングの事実を拾い上げるためにアイドルの尿を得ようと立ち回るという、記者として必死に動いている様が滑稽なところだ。主人公が真面目で好感が持てることもあり、ついつい肩入れしたくなってくる。
この結末を予想できる人は、たぶん筋肉をつけるということを科学的に考えられる人だと思う。読み終えてなお、ドーピングが悪いものとは思えない。が、違法なドーピング薬を密売している側は確実に悪だろう。題材が突飛なので見落としそうになるが、悪を追う正統派ミステリとして楽しめる快作だ。
※欠点として挙げるなら、警察など公権力側がポンコツすぎる。ご都合主義感があるのは否めなかった。

