ねむみん
@nemumin
2025年12月17日
正欲
朝井リョウ
読み終わった
何から書けばいいか迷うほどに、色々なことを考えさせられた。
群像劇を書くのが上手いな、というのが率直な感想。みんなに幸せになってほしいと思った。それが難しいということはわかっていたはずなのに、物語に突きつけられて強くショックを受けてしまった。こんな世界に希望を持っていいのか、持たない方がいいのか、よくわからない。
運悪く(と言っていいかはわからないが)逮捕されてしまった佳道が、夏月というパートナーを得たことだけが救いに感じた。大也に関しては希望を掴みかけたその先にこの結末を迎えることが残酷と言う他ない。しかしそのおかげで、この作品は、誰もがマイノリティでいる権利、マジョリティを憎む権利、マジョリティであっても悩み苦しむ権利を肯定していると思った。
理不尽な不理解は誰しもに降りかかる。マジョリティに見える人々も、パートナーの体重をあずけられるのが心地いいとかそうじゃないとか、妊娠したいのにできないとか、大小さまざまな悩みを抱え不安になり、下ネタのていで不安を共有している。それ自体はなんら糾弾されることではない。
一方で、その輪から疎外されていると感じる人々もいる。その中でも、輪に入れてほしい人もいれば、勝手に入れるなという人もいる。画一的に正しいことなんてない。
LGBTsだとかマイノリティだとか、そういう線引きは本当に誰かの救いになっているか?そして、あなたが「普通」だと思っているその性癖や考えは、本当に「普通」なのか?
全篇を通してずっと問いかけられているような気がした。センシティブな話題だからこそ、この作品を読んだ人とは何かひとつ繋がりを感じられる気がする。そんな名作だった。




