
夜凪 順
@yonagijun
2025年12月18日
読み終わった
初めての金田一耕助シリーズの読了でした。
映像作品から小説まで存在は知っていましたがなかなか手に取ることはなく、今回「100分間で楽しむ名作小説」の刊行を機に読んでみることに。
……が。なんでしょう、この言い寄れぬ陰惨さ。
さすがの風間のひと声で気持ちが切り替わることなく、悪魔払いに熱いものをひっかけたとて、その場にいる人物も読者も晴々とすることはないだろう。その豪胆さが人を魅了する風間の良さでもあるのだろうが……。
しかし、視線誘導の素晴らしさと言うのでしょうか、ある程度推理ものを読んでいる人ならば想像するような場面にさらに伏線を張る。全ての伏線を回収した瞬間には私も肌が粟立つほど。
点と点が繋がって線となる瞬間の爽快さは、やはりミステリーものの醍醐味ではないでしょうか。
お繁に思いを馳せど、時代背景的にそうするほかなかったかもな……なんて。
そして、興奮ゆえにまるで噺家の如く言葉を連ねたり、時に体をすくませ人間味のある反応を示したり、謎を解き明かす側というのは常に冷静沈着な印象が強かった私にとって、金田一耕助という人物に随分と惹かれてしまった。
他の小説もぜひ読んでみたいと興味が湧いた一冊でした。

