
たにこ
@chico75_11427
2025年12月18日
引き出しに夕方をしまっておいた
きむふな,
ハン・ガン,
斎藤真理子
読み終わった
著者の20年分の想いが詰め込まれた、生死や苦痛、少し仄暗さを感じながらも、生きる力や回復していく姿が自由詩の中に織り込まれている。
一つ一つの言葉を自分の中に落とし込むには何度も読み返す必要がありそう。著者の世界観に入り込むために他の作品も読んでみたい。
後書に訳者二名の対談があり、その部分は韓国文学を知る上でかなり勉強になる話が載っていたので参考にしたい。
タイトルがとても素敵です。





たにこ
@chico75_11427
涙がやってくるとき 私の体は空っぽの甕になる
街の真ん中で顔を覆って泣いてみた
信じられなかった、まだ涙が残っていたなんて
涙がやってくるとき 私の体は空っぽの甕になる
立ち尽くして待っていた、いっぱいになるときを
わからない、どれだけの人が私を通り過ぎたのか
街から街へ、路地から路地へと流れていったのか
だれかが私の体に触れたら驚いただろう
だれかが耳を傾けたら驚いただろう
黒い水音が響いただろうから
深い水音が響いただろうから
丸く
もっと丸く
波紋が広がっただろうから
信じられなかった、まだ涙が残っていたなんて
知らなかった、もう何も怖くないなんて
街の真ん中を ひとりで歩いているときだった
そうして永遠に死んだの、私の胸の中であなたは
街の真ん中を ひとりで歩いているときだった
そうしてふたたび目を覚ました、私の胸で 命は
(P42〜43)