
花木コヘレト
@qohelet
2025年12月17日
宗教のきほん 「愛」の思想史
山本芳久
読み終わった
図書館本
キリスト教
ギリシャ哲学
プラトン、アリストテレス、旧約聖書、新約聖書、ベネディクト一六世、アウグスティヌス、トマス・アクィナス、と錚々たる顔ぶれの「愛」についての言説を、ポイントを絞って紹介してくれています。
読むこと自体なら、そんなに難しくなくて、会社員の私にも二日で読めました。でも、書いてあることは、何度か読んで、ちゃんと身につけなくちゃいけないことだな、とは思いました。
筆者が、カトリックのクリスチャンだから当たり前ですが、やっぱり、ギリシャ哲学とキリスト教の「愛」の差が、本書の一番の「段差」かな、と思います。この本は別に、ギリシャとローマの差異を明らかにすることを目指した本じゃないですけれど。
プラトンの愛エロースもアリストテレスの愛フィリアも、人間同士の愛なんですよね。でも、キリスト教の愛アガペーには、この世界の創造主としての神様が入ってくる。キリスト教の場合は、自己愛でも隣人愛でも、それよりも先行して、まずは私たち一人ひとりにおける、神との愛の結合が強調されます。
だから、キリスト教の方が、人間がより個人として見られるんです。人間一人ひとりが、まず神と対面をして個人となり、それから他者との交際に移るからです。だから、それぞれ一人一人の愛には、必ず神様の愛がくっついてきて、そういう意味で、私たちは神の愛の伝達者として、存在するんだなあ、と思いました。
これは、受け取る人によって、嫌だと思う人もいれば、逆に神の愛に包まれて安心する、という人もいると思います。
最初に書きましたけれど、本書のメインとして紹介されるのは、ほとんどがキリスト教の愛についてです。キリスト教の愛も、たくさん種類があるんだなあと、感心します。特に、トマス・アクィナスの部分については、筆者の専門なので、とても読み応えがあります。僕は著者のファンなので、そういう意味では、推します。
愛というキーワードに関心がある人は、パラっとめくるだけめくってみても、良いんじゃないかなと思います。


