
chizu
@popstar5
2025年12月18日
読み終わった
12/18 読了。
橋場くんが幼い頃から興味を持っていた理数の世界から進学へ繋がり、喜嶋先生と出会い研究に没頭、そして就職、結婚と彼自身が自分の記憶を淡々と語り進んでいく物語…だと思っていた。
終盤、橋場くんが「いつから、僕は研究者を辞めたのだろう」と気がつくタイミングでこちらも気づくことになる。
それまでは橋場くんは大好きな研究を続けられる研究者の道をしがらみに揉まれながらも進んでいると思っていた。
でも違った。
自分の生活や周りを気にせず研究だけをしていた学生のあの頃とは違うし、もう戻れない。
ずっと事実を淡々と語り進んできた橋場くんの人生の振り返りだったはずが、最後はそれぞれの道を歩むことになった喜嶋先生に対する憧れや希望が綴られて終える。
喜嶋先生には「王道をいく研究者で、あの頃と変わらないままであってほしい」という橋場くんのエゴで。
ここまではタイトルの通り優しく暖かで静かな世界を感じていたが、突然穴底に落とされたような、なんというか不安に包まれたような感覚になった。
でも本当は現実も皆同じなのかもしれない。
自分では子供のまま、大人になんてなれていないと思っているけども、気づかないままに「生活」と「社会」に身を置くようになっていて、「子供」の頃の感覚は無くなっている。
知らないうちにいろんなことを覚えて、「子供」の頃の感覚を忘れ「大人」になっているんだろう。
いつから、いつから、自分は現実ベースで物事を考えるようになったのか
なにかを学ぶ楽しさや素晴らしさと共に「そのままではいられない」、人間という時間を感じる作品だった
まるで自分の人生と同じように、気づいたらここまできていた、みたいな時間の奥行きが一冊に詰め込まれていた
きっと読むタイミングで感じ方もまた違うのだと思う
また再読してみたい

