
夜凪 順
@yonagijun
2025年12月19日
人間失格
太宰治
かつて読んだ
「恥の多い生涯を送って来ました。」
何度読み直してもこの一文はずるいなと、そう思うのです。
字数にしたらたった14文字、それなのに鮮烈に記憶に残していく。
太宰という男性がどういう人間だったのか直接話したかったと思うくらい、その才能が妬ましくて仕方ない。どろりとした私のなかの醜さが溢れてしまいそう。
「人に好かれる事は知っていても、人を愛する能力に於いては欠けているところがあるようでした。」
そうは言ってもどうしたらこんなに湿度高く、色気のある文章を編めるのか。
「斜陽」もそうだが、太宰の紡ぐ言葉は私にとって退廃的で、官能的にも思えてしまう。
人間が壊れていく様をまざまざと見せつけられたとて、その気持ちは変わらないのだ。
どうか私が死ぬときには棺に納めて、一緒に燃やしてほしい作品なのです。

