
きなこ
@kinako2025
2025年12月19日

研修生
多和田葉子
読み終わった
おもしろかった
p67 「たわいもない会話でも、言葉を交わすことで人間に触れた感触があった。表現したいことがあってそれを伝えるというよりは、言葉で空気をふるわして、その振動が相手に伝わることで、同じ空間に存在しているという実感が持てるのだった。」
p78「市民図書館は文字というおいしい食べ物に溢れていたが、命を落とす危険は少ない場所であるように思えた。」
508ページの長編小説。
作者を彷彿とさせる主人公が、1980年代にドイツのハンブルクの書籍取次会社で研修生として働き始める夏から冬にかけての物語。
初々しい研修生の、慣れない職場で出会う人々や町で出会った人々との交流やいざこざなどが日常生活と共に書き込まれていて、読むほどに読者の私も当時のハンブルクの町に放り込まれ、主人公を眺めながら暮らしている気分になる。
言葉に関心の高い作者らしく、ドイツ語や日本語から想起するイメージを膨らませていて読んでいて楽しい。







