
ユメ
@yumeticmode
2025年11月23日
点子ちゃんとアントン
エーリヒ・ケストナー,
池田香代子
読み終わった
感想
再読
こちらも「ケストナーとわたしたち展」の会場で購入し、子どもの頃以来の再読。主人公のひとりである点子ちゃん、当時は不思議な響きの名前だなとうっすら思っていたが、「ケストナーとわたしたち展」の展示を見て、原語のドイツ語では「Pünktchen」(直訳すると「小さな点」)だったのだと知る。実に絶妙な日本語訳だったのだなと時を経て納得した。
本書は、各章の章末にケストナー自身による解説「立ち止まって考えたこと」が記されている。その内容は大人になった今読むからこそいっそう心に沁み、時として耳が痛い。ケストナーは点子ちゃんとアントンという二人の子どもを温かく見守りつつ、彼女たちの欠点はしっかりと諭している。大人は子どもをやみくもに甘やかすのではなく、きちんと叱るべきことは叱って、尊敬を得られる存在でなくてはならないというケストナーの主張は、きっといつの時代になっても古びないことだろう。
波瀾万丈ののちに迎える大団円についてもケストナーは、現実でも物事がこう運ぶよう人々が努力しなければならないと語っている。ナチスが勢力を伸ばしつつあったドイツでこの物語を執筆したケストナーの言葉は重い。あとがきの、エーミールやアントンのような子どもはいくら大勢いても足りないという文章も胸に響いた。


