
イイヤン
@h_d_d
2025年12月22日
イラクサ姫と骨の犬
T・キングフィッシャー,
原島文世
読み終わった
王国の第3王女マーラは、敵国に嫁いだ姉が夫である王子から暴力を受けていることを知る。けれど救いだせば国際問題に発展し、後ろ盾を失えば小国であるマーラの国はたちまち滅んでしまう。姉を救い出すため、マーラは古の魔法を使う墓守女に助けを求め、無理難題の試練を乗り越え、仲間を集め、呪われたしきたりを打ち破ろうとする。
ファンタジーの要素が強めだが、主題としてはジェンダー小説の傾向が強いかもしれない。SNSに試し読みを放流するなら、そのときのタイトルは「法で裁けないモラハラ夫を完全犯罪で殺す話」だ。いちばん印象に残っているのは、幽霊を信じないというフェンリスと墓守女の会話。
「幽霊を信じてないんだね。だったら墓は荒らせるかい?」
「まさか!もちろんそんなことはしない」
「そういうことだよ」
「あんたの言うとおりかもしれない。でも、墓を荒らすことには恐怖ではなく嫌悪を感じる。その行為は恥ずべきことなんだ。報いを恐れるわけじゃない。そういう真似をしたらどんな人間になってしまうかを恐れている」
…間を要約してしまったが、こんな感じのやり取り。ハックするのが賢い人間の生き方、みたいな精神性が広まりきった現代で、このフェンリスの考え方はどれだけ受け入れられるのか。読みながら、道徳や良心について考えていた。