
米谷隆佑
@yoneryu_
2025年12月24日
ユーモアの鎖国 新版
石垣りん
読み終わった
つつましく生き、書いたものが載って、本になって金になり、金が本を買わせて生活をちょっと豊かにする。豊かになったら今度は日々のことに目が向いて、詩を書いて、先生に見てもらって、ユーモアがありますね、だなんて言われる石垣りんが楽しそうだ。戦争に苦しめられ形成されたライフスタイルには、現代でも参考になる心の向きがある。苦しい時代を踏み抜く精神の豊かさを、散文的に書かれたエッセイ。詩を書き、言葉で営むからこそ深く考えられた、言葉の力や澱んだ思想の前の無力さが語られていて、読者側を同時に深く悩ませることだろう。戦時中の政治が生活に与えた影響、どう扱われ、どう変わっていったのか——。
他人にどう思われるか、あぁも隠さず書き綴り、あげく、仕方がないネ、といった具合に折れて、こてん、と笑っている。こんな人が、昭和を舞台に東京を歩いていたなんて思えただけで、このエッセイはやさしい気持ちに導いてくれる。
彼女の、卑屈で屈託のない笑顔を写真に見つけては、文の朗らかさに気持ちが前向きになり、ぼくは幸せです。


