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@__lily74
2025年12月25日
演出をさがして 映画の勉強会
三宅唱,
三浦哲哉,
濱口竜介
読んでる
トニー・スコットの章以外を読破。他の章で取り上げられている作家と作品は全部触れたことのあるものであるのに対し、トニー・スコットはまだ未見のものが多く、作品と一緒にページを進めたいから、という理由から。
『演出をさがして』というタイトルで打ち出す通り、やはり緻密な演出についてのディスカッションが進む。ーーそういう意味で、監督志望の人や若い作り手たちに特におすすめしたい本かも。もちろん、そうではない一般読者も、そんなことを考えているのか、という発見はあるだろうけど。
とくに面白かったのは、濱口が語る『ジャンヌ・ダルク裁判』の演技について。演技について書くことは、(俳優でも監督でもない)私にとって抽象性が高い議論が多いような気がして、感覚的に理解できないものも多いのだけど、ここでの濱口はこれ以上ない具体で話しており、なるほど、と唸った。ロベール・ブレッソンの『シネマトグラフ覚書』はわたし自身が愛する本でもあるのだけど、まだまだ読み足りないな、と思うし、なるほど日本語版だけでなく、英語版やフランス語版を写経しながら読解していけばいいのか、と。効率の悪い作業を通すことで対話が深まる、と言っていて、たしかになぁ、と納得してばかりだった。
あとは、三宅唱が語る『ケイコ 目を澄ませて』のこと。ここを読むことでこの作品が大好きなんだな、ということを改めて思い出させてくれるし、三宅の作品はよくある物語から登場人物が逸脱していくからこその信頼があるんだよな、と。三宅自身の物語観、あるいは人生観みたいなものが如実に反映されてるんだな、と読んでいて嬉しくなった。
監督自身が自作を語る終盤の2章については、当然彼らの作品を愛する人にとっては読み応えのある内容なのだけど、映画現場の在り方について問われているのが個人的に好印象。今年、ペドロ・コスタが来日し、映画制作において時間を敵にするな、という話をしていて、そうなるとコスタのようにとても小さい組織でやるほかないのかなという考えがあったのだけど、大作で時間を敵にすることなくいかにいい作品を作るか、ということへのひとつの答えがあるような気がした。

