
wakaba
@wakaba101
2025年12月25日
その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか
アグラヤ・ヴェテラニー,
松永美穂
読み終わった
「わたしはボロボロと崩れていくような気がする。」(p.148)
ルーマニア出身、スイスで活躍した著者の自伝的作品。
チャウシェスクの独裁政治から逃れるためルーマニアから国外逃亡した家族。サーカスの芸人として土地を転々としつつ生活しているためどこにも安住の地はなく、さらに家族が徐々に崩壊していくことで著者である“わたし”のアイデンティティも、“ボロボロと崩れて”いったのかもしれない。
時代と、そこに生きた人間の産み出す悲哀が通奏低音のように、この小説全体に流れている。


