
amy
@note_1581
2025年3月9日

かつて読んだ
感想
20歳から13年間闘病生活を送っていた頭木弘樹さんのエッセイ集。エッセイの内容は闘病生活のものではなく、頭木さんが考えていることなどをつづった普通のエッセイ
「言葉にしないとわからない」vs「言葉にできない気持ちもある」
収録されているエッセイの一番最初の内容が、まさに「言葉にできない気持ち」に関することだった。いまは色んなSNSで、推しや漫画やアニメや映画なんかを語るために「言葉」が用いられる
インパクトの強い言葉はバズワードになり、たくさんの人を惹きつけ広まっていく。まさに大言語化時代なわけである。そんな状況で、とはいえ理路整然と言葉にまとめられないときもある、言葉にできない気持ちもあるというエッセイから出発し、「かわいそう」と思う気持ちは否定されていいのか、映画の上映中にスマホをいじるのはダメなのか、後悔はしないほうがいいのか、など世間一般では否定されがちな思いや環境のことを真摯に考えているエッセイがたくさん詰まっている。
自分の持っている言葉を、そうやって使うことができるのか、という驚きもあったし、それ以上にあらゆることへの慈しみのような眼差しに溢れていた
TwitterやそのほかのテキストコミュニケーションがメインのSNSを愛好する人は、やはり言語というものへの親しみや慣れが大きいと思う。そういう人たちに届けたいエッセイ集だった

