
Suzuki
@finto__
2025年3月9日

ギリシャ語の時間
ハン・ガン,
斎藤真理子
読み終わった
★★★★☆
「君が僕を初めて抱きしめたとき、あの身振りに、若い、痛切な、隠しておけない欲望を感じたとき、鳥肌が立つほどはっきり僕は悟ったのだと思う。人間の体は悲しいものだということ。へこんだところ、やわらかいところ、傷つきやすいところでいっぱいな人間の体は。腕は。脇の下は。胸は。股は。誰かを抱きしめるために、抱きしめたいと思うように生まれついている、あの、体というものは。
あの季節が終わる前に君を、一度でいいから、壊れるぐらいに、真正面から抱きしめなくてはいけなかったのに。
それは決して僕を傷つけはしなかったろうに。
僕は倒れも、死にもしなかったろうに。」p145-46


