しば
@shiba_reads
2025年12月25日
言葉なんていらない?
古田徹也
読み終わった
言葉は物事の完全なコピーにはなり得ないのではないか?という疑問に対し、言葉の本質とは物事の正確なコピーを生み出すことではないのだと筆者は答えている。物事のひとつの「相貌」、あるいは一側面を指し示し、「自分はこの物事のこの部分に注目している」という情報を相手と共有することこそが言葉の役割だということだ。
たしかに、創作世界を記述によって再現し読者に見せているようにみえる小説においても、言葉そのものが創作世界のコピーとなっているわけではなく、世界のひとつの「相貌」を断片的に読者に提示するに留まる。しかし、わたしたち読者はその断片を追うことによってストーリーを理解し、また断片を手がかりにして、本文中では表現されていない創作世界の広がりに思いを馳せることもできる。言葉が物事の正確なコピーたり得なくても、それが即ち言葉の不必要さに繋がるわけではないのだろう。

