もぐもぐ羊 "沖縄 スパイ" 2025年12月26日

沖縄 スパイ
沖縄 スパイ
キム・スム,
孫知延
読みさしのまま随分と時間が経ってしまった。 人間狩りがはじまって住民たちが疑心暗鬼になりながら噂に怯えているのが読んでいて辛かった。 玉音放送の後にも戦争が終わったことを認めない軍人たちがスパイを見つけ出して殺していく様は愚行でしかなく、これが実話でしかも軍人たちは罪に問われることなく戦後を生きたと知って理不尽だと思った。 しかも殺された人たちはスパイではなかった。 キム・スムは歴史の中でなかったことにしないために出来事を脚色しつつ小説として完成させる。 フィクションではあるがこの小説で描かれていることは丁寧な取材を重ねているし亡くなった人(殺された人)の人数は作中の通りだ。 トークイベントで実際に著者の言葉でこの小説に描かれた事件のことやこの小説を書く決意をしたことについての話を聞いて、消された声を掬いあげることを使命として作家をしている人なんだなと思った。 日本でスパイ防止法について国会で議論されているが、この本を読んだ後だと恐ろしくてそんな法律は施行すべきでないと思った。 戦中の治安維持法を彷彿とさせると以前から思っていたが、何をもってスパイとするのか曖昧な状態だと噂レベルで連行される懸念がある。 相互監視社会や密告など旧東ドイツでの出来事も思い出す。
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