いずみがわ "給水塔から見た虹は" 2025年12月28日

給水塔から見た虹は
熱い手だった。必死でひらがなを覚えるために短い鉛筆を握っていた手だ。p.342 私も仕事で海外にルーツを持つ人たちに接することがある。 家族や仕事を持って暮らす人から日本に来たばかりの技能実習生まで様々だ。自分だったら生まれも育ちもしてない外国でこんなに頑張れるかな…と今年も何度も想像した。 そしてこの本に出てくるのと同様、差別的な呼称や偏見は職場にも銃弾の如く飛び交っている。直撃してない「日本人」でも痛み感じるひと、いるんすよ。きっとわからないだろう。 そんな地獄のような世の救いの一つ本書。書いてくれてありがとう。私たちはひとりじゃないね。 桐乃がまたここに戻ってくるのか、それとも遠くに行ったままなのか。どちらにせよ私はインザハイツのベニーがニーナに言ったように「君はいつか世界を変える人だよ」と伝えたい。 ヒュウが父と訣別したのもよかった。ね、尾形。彼が罪と向き合う流れも誠実だと思う。彼がグエンおじさんにまた会いに来られますように。 桐乃もヒュウも、母や父と自分の境界線に気づき、見えてしまったその線にさみしさを知り、それでも身を剥がすように自分の人生に向き合っていく。 里穂さんは今すぐファブ5に会ってくれ!!!と読んでる途中は思ったけど、残念ながら彼らはなかなか日本に来てくれない。大学も出て複数言語を操る彼女が、非正規で働きながらこうして見返りを求めず人助けをしている。なんてこと。でも…ありがちな話だ。 これが父親だったら読み手の感情も違ったりして…とふと思う。「母親」に私たちが求めるものを省みる絶妙な設定。 ファブ5は言うだろう。「あなたはもっと称えられるべき。世の中からも、自分からも」 彼女はやっと中2の自分を抱きしめられた。この物語の書かれていない続きでもっと仲間が増えていたらいいな。組織立てて助ける体制ができたらいいのになと願っている。 装丁がちょっとキラキラフワフワしすぎでは…?そこはちょっと残念。
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