
えむ子
@hks_emk
2025年12月29日
ネバーランド
恩田陸
読み終わった
フォロワーさんからお勧めしていただいた一冊。
名門男子高の寮住まい、冬休みに寮に残る3人+1人のあらすじだけでも面白そうなのに、読めば読むほど全員が魅力的なキャラクターで面白かった。いや、全員が全員こんな重たいもの背負ってることないやろ!と思いつつも、まだ親の庇護下にあるべき年齢の子どもが長期休みに帰宅を選択しないということはそういうことだよなと納得。
語り手の美国が冒頭から読み進めていくにつれて印象が変わっていくのが面白かった。新たな冒険を求め続けるタイプではないだろ、君。
光浩に関しては痛々しい過去と現状があまりに辛くて、大人として同じ大人の義母(でいいのだろうか)に対して非常に怒りが湧いたし、手紙の内容についてもお前が言うかと腹立たしかった。だけどその矛盾とどの口がと思わせるところが彼女の人間みを感じさせて憎い。謝罪も罵倒も全部が今更で、それならばと選んだ言葉だったのかもしれないと想像すると、彼女もある種被害者だったのだなと思った。だからといって加害者に転じて、それも幼い子供に対して非道な行いをしていいわけではないので同情はできない。彼の両親に対しても夢見がちで地に足をつけない生き方と死に様に共感はできなかった。どこまでも自分だけが悲劇の主人公という姿勢が透けて、どうせ死ぬなら光浩の為になる死に方を探してほしかった。
美国、寛司、統も同じで、大人の被害者意識に子供が振り回され、傷を抱えているのが大人として心苦しい限りだった。子供は幸せじゃなきゃだめだろ。
それでも彼らが足掻いて前を向く様はとても良かった。大人に傷付けられた彼らが正しさや強さを見つけていくであろう未来、どんな大人になるのかを想像すると不思議と温かさを感じてじんわりとした。
正しくない大人たちを見た彼らは、きっと被害者としての人生ではない未来を掴んでいくんだろうなと思わせる強さに、心からのエールを送りたい。




