
ユメ
@yumeticmode
2025年11月27日
雪の中の三人男
エーリヒ・ケストナー,
小松太郎
読み終わった
感想
ケストナーの大人向けユーモア三部作の第二作。私は第一作の『消え失せた密画』のみ創元推理文庫版を持っており、絶版になってしまっていたため手に入れられずにいたが、第二作の『雪の中の三人男』、第三作の『一杯の珈琲から』も読みたいと切望していた。中公文庫が三部作を順に復刊してくれていることを、大変嬉しく思う。
この中公文庫版『雪の中の三人男』の巻末には、吉田篤弘さんが解説を寄せている。私は先日、篤弘さんのイベントに参加する機会があり、著書にサインをいただく際に『雪の中の三人男』について伺った。篤弘さんからは「冬の夜にぴったりの本です」「とにかく楽しく読むのがおすすめです。悲しいことにはなりませんので」というお言葉をいただき、私はそれに従って本書を非常に楽しく読んだ。
雪山のホテルで、貧乏人に扮した百万長者トーブラーと、失業中の青年ハーゲドルンが取り違えられるという筋書きを、ケストナーはユーモアたっぷりに物語る。中盤からは更なるなりすましも重なり、上質な喜劇が展開されてゆく。唯一すべての真相を知る読者として、登場人物たちの行動に時折くすりと笑いつつ、温かな大団円を幸せな気持ちで見届けた。
トーブラーとその従者ヨーハン、そしてハーゲドルンのあいだに芽生える友情は、身分を超えて子どものように純粋ですらある。三人で雪人形を作ってカシミアと名付けるくだりは、無邪気で微笑ましい。雪景色の描写も美しかった。

