きなこ "本と偶然" 2025年12月26日

きなこ
きなこ
@kinako2025
2025年12月26日
本と偶然
本と偶然
カン・バンファ,
キム・チョヨプ
p38 「詰めこんでいればいつかは」では、彼女はデビューしたばかりで、自分がアイデアが尽きたのではないかと不安になる。「アイデアは降って湧くものではないかと思っていた時期があった」が、そんな作家もいるが自分は違うと彼女は気がついたという。「材料を漁り、かき集め、収集する。そして、集めた材料を余すところなく使って文章を書く。」それが自分の書き方だと気付いたというところに大いに共感した。キム・チョヨプ氏が言うように、アイデアが溢れてくる作家もいるだろう。しかしそれだけではなく、あれだけ惹かれる小説を書く彼女がコツコツと材料を集めて書くタイプの作家だと知ることができて、親近感を覚えた。 彼女がアイデアノートを参考に小説を書こうとして設定を考えていても齟齬があることに気づくと筆が止まってしまうという。 「そのころになって、想像力と知識は別々のものではなく、緊密につながり合っているのだと知った。知識がないから、想像力も及ばないのだ。」その通りだよな。 「大学時代を通じて学び親しんだ科学知識は、作品世界の一部を構成するにすぎなかった。それとなくごまかそうとしても、ほんの一行でもつじつまの合わない部分があれば、読者の胸に作品全体への疑念が湧くかもしれないのだから、これは一大事だ。」共感の嵐。 「わたしのなかで文章を書くことは、作家の内にあるものを引っ張り出すといより、自分の外にある材料を集めて配合し、積み上げていく、料理や建築にちかいものにかんじる。学び、探検すること、なにかを広く深く掘り下げること、世界を拡張すること。これらすべてが、わたしにとっては執筆の一環と言える。」ここの部分も私に力を与えてくれた。 p173 私が韓国の作家の中で一番好きな人物がチョン・ソヨンさんなんだけれど、なんとキム・チョヨプさんも彼女から大きな影響を受けたという。 チョン・ソヨンさんの「入籍」とキム・ボヨンさんの「地球の空には星が輝いている」について以下のように言っている。 「二つともとても抒情的な短篇で、衝撃的で美しいシーンを含んでいる。私はこの二篇に一目惚れした。恋をしてしまった。(中略)短篇を書くとき、強い抒情性、劇的な感情があらわになるシーンを最も大事にしている。この点においてはチョン・ソヨン、キム・ボヨンのお二人から大きな影響を受けたと思っている。」 自分が好きな作家が、好きな作家へと影響を与えている事実は、読者にとってこの上もない幸福だ。
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