
橘海月
@amaretto319
2024年11月23日
贋品
浅沢英
読み終わった
美術館から盗まれたピカソ最晩年のアルルカン、それの贋作をコレクターに売らないか?亡き父を知る画家山井に唆された主人公佐村は、借金返済もあってその話に乗った。だが新たな借金を作りチームの一人が失踪し、住む場所を転々としながら贋作を完成させる羽目になって…。
当初、読む前に漠然と描いていた「名画の贋作を拵える」作業とは全く異なり、内容はかなりハードボイルドだった。ヤバい相手に借金をこさえ、コレクターには「嘘をつくと死ぬ」と脅され、チームの山井と文紅(ウェホン)からは切捨てられそうに。それでも苦労しつつなんとか贋品ができ、真贋判定となる場面は手に汗を握る。
読み始めた最初は思っていたのと違って辛い…となっていたが、徐々に佐村と文紅、山井の人物像に魅力を感じるようになった。特に最後まで敵が味方かわからない文紅の、賢くしたたかで、それでいて自身の芯を曲げない強さにとても惹かれた。彼女の美しさがビジネスでは足枷となる皮肉もひしひしと感じた。
実際に、世界である贋作者が描いた贋品が日本にも存在するとニュースになり、決して物語だけの話ではないとひしひし感じた。また私が漠然と思っていた「贋作は画家の腕ありき」ではなく「現代の科学との戦い」であり、そのために何より必須なのが「その当時の材料」なのが目から鱗だった。