
-ゞ-
@bunkobonsuki
2025年12月30日
読書について
アルトゥル・ショーペンハウアー,
鈴木芳子
『読書について』は、ショーペンハウアーの随筆である。当時、ドイツの文壇は退廃を極めていた。読み手はラディカルな主張を展開する新刊を好み、書き手も文章の書き方を俗に合わせる有様。
そんな時代にショーペンハウアーは文壇を敵に回すような文章を著す。同時代人、それも同業者への宣戦布告ともいうべき随筆が、『読書について』なのだ。
時代も国も違うのに、これだけ長く日本で読み継がれる随筆も珍しいのではないか。本書の主張は時代を貫く碇であり、いつどこでも人間は易々と変わらないことを感じさせる。
ただ、異論を唱えたい箇所もある。ショーペンハウアーは「悪書を駆逐し、良書だけを残すべきだ」と言う。その主張はもっともなのだが、どうやらショーペンハウアーは新刊=悪書とみなしているようなのだ。
新刊が出なくなれば本屋市場が縮小し、やがて良書も発掘されなくなるのでは・・・・・・。それだけ当時は新刊に悪書が多かったのだろうか。


