
橘海月
@amaretto319
2024年1月28日
星の子
今村夏子
読み終わった
宗教二世のちひろが生まれ中学三年になるまでの物語。淡々と過ごす日々の中、歳の離れた姉は家を出てゆき、公園で過ごす両親は不審者扱いされてしまう。それでも集会で会う友達や他の信者との関わりは、主人公にとってあたりまえのもので…。じわじわ浸透する恐怖。
何が日常で非日常かはその当人にしかわかり得ず、家族の数だけ「うちにとってのあたりまえ」は異なる。だからこそ主人公がそのおかしさに気づけずにいても不思議じゃないし、おかしいと声を上げても優しい両親に諭されるとどうしようもない。学習性無力感をひしひしと感じる。曖昧なラストもやるせない。
修学旅行も親戚にお金を借りなければ行けず、祖母の三回忌の法要で食べた仕出し弁当を楽しみに七回忌を心待ちにする異常さ。それでも「高校はうちから通えばいい。両親と距離を置いたら」と言ってくれるおじさんの言葉に頷けない戸惑い。「うちは普通じゃない」と意識する難しさは、被虐待児と同様だ。
某事件をきっかけに浮上した宗教二世問題。まさにその渦中の子供はこんな感じなのだと思えた一冊。
