ユメ "岩波少年文庫のあゆみ 195..." 2025年12月18日

ユメ
ユメ
@yumeticmode
2025年12月18日
岩波少年文庫のあゆみ 1950-2020
岩波少年文庫好き、児童文学好きとして、心から手に取ってよかったと思えた良著。今年創刊75年を迎えた少年文庫の歴史、代表作の紹介、挿絵の魅力や翻訳の妙味の解説、出版業界を中心とした知識人たちの綴る児童文学の思い出と、読みどころ満載の一冊だ。そして巻末には、創刊時からの総目録まで収録されている。 岩波書店では戦時中から児童向け文庫の企画が進められていたこと、それが当時の統制機関によって頓挫させられていたことは初めて知る。その計画が戦後に少年文庫に引き継がれ、今日に至るまで編集部の方々のたゆまぬ努力によって古今東西の名作が子どもたちに届けられていることに、深く感銘を受けた。 創刊にあたって中心的な役割を果たした石井桃子さんは、「かつてあったいいことはどこかで生き続ける」という言葉を大切にしていたという。その言葉は、時代を越える名作を紹介し続ける少年文庫のあゆみにも重なるように思う。 また、本書の編著を務めた若菜晃子さんによる、少年文庫への深い愛に満ちた文章も素晴らしい。子どものかけがえのない友人となり、大人になって読むと更に深みが増す児童文学の魅力を語った文章には心を掴まれたし、少年文庫の代表作を解説する文章には、同じ物語を愛好する同志と出会えたような嬉しさがあった。 本書を読んで、岩波書店の児童文学を読んで育ってきた私自身の思い出もよみがえり、胸が温まった。私は子どもの頃には主に図書館で借りてきた岩波書店の全集を読んでおり(中でもアーサー・ランサム全集とリンドグレーン全集は何度読んだことか)、大人になってからそれらの作品を少年文庫版で手元に買い揃えるということをしてきたため、ずっと岩波書店の児童文学が人生の傍らにいてくれたように思う。それのどれだけありがたいことか、本書を読んで改めて実感した。マイ・ベスト岩波少年文庫は、『ツバメ号とアマゾン号』と『わたしたちの島で』だ。
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