ペリー "世界99 下" 2025年12月31日

ペリー
ペリー
@periperiperry
2025年12月31日
世界99 下
世界99 下
村田沙耶香
人のあらゆる醜さ、愚かさ、卑劣さ、しょうもなさがなんでも見つかる。人の醜さを直視させられ、そこから目を背けても、背けた先に別の醜さが目に入る。人間の汚点のバーゲンセール小説。 まあもちろん小説なので醜さを露呈しているのは登場人物なんだが、それが読み手の自分にガンガンに跳ね返ってきて気が滅入った。いちいち皮肉の攻撃力が高くて「止めてくれ、その術はオレに効く」ってなりまくるし、皮肉が刺さる以外でも嫌な気持ちになる場面が目白押し。読んでいて特に嫌だなと感じた登場人物の言動や考えこそが、自分が排除したいけどその欠片を持ってしまっている醜さそのものなんだと思う。自分の欲望の写し鏡となる小説だ。 パーフェクト善人は一人も出てこなくて、みんなそれぞれ多様にクソなんだが、なぜこんなに多様なのに似たような薄気味悪さを感じてしまうのだろうか、と疑問に思いながら読み進めた。暫定的な答えとしては、登場人物みな自らの欲望に向き合わず外的な価値や倫理に逃げているように見えるからだ、という感じだろうか。だから、少なくともある程度は欲望を直視している主人公や小早川さんが良くも悪くも爽やかに見えるのではないか、と。 エンタメ的楽しさはなく、ストーリーに感動できるわけでもない。それでも読まれるべきすごい小説。ちなみに、「深く考えさせられた」という感想を持ってしまいそうになるが、そういう態度もしっかり刺されている(本書の言葉でいうと「それ世界3っぽい!」と言われそう)ので、実は感想を言いにくい本。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved