
橘海月
@amaretto319
2024年12月30日
リカバリー・カバヒコ
青山美智子
読み終わった
日の出公園にある、カバのアニマルライド。茶色にくすんだオレンジのそれは愛嬌ある顔つきで「自分がリカバリーしたい箇所と同じ部位を撫でると回復する」との噂がある。近くの分譲マンションの住人五人は、それぞれの悩みを抱えてカバヒコの元へと通うのだった…。
嘘をついてしまった元優等生、職場に行けなくなった会社員、ママ友との関係にモヤモヤする専業主婦。悩みを抱えた彼らは特別善良でもなく、嫉妬もすれば意地悪な考えも浮かぶごく普通の人達だ。だからこそ、弱った心にカバヒコの噂は沁みる。変わりたいと願う彼らに、ただ寄り添うカバヒコは鏡のようだった。
悩みを抱えた主人公に、それほど劇的な出来事が起こるわけではない。変わるのは彼らの凝り固まった考え方だ。身体が楽になると同時に「あぁ、自分はこんなにも囚われていたのだ」となる様子にホッとする。読み進めながら、いつの間にか私も彼らの苦しみに共感し、状況の変化を求めていたことに気がついた。

