橘海月 "おいしいごはんが食べられます..." 2025年2月23日

橘海月
橘海月
@amaretto319
2025年2月23日
おいしいごはんが食べられますように
ものすごくおすすめだけど、読んでて決して楽しい物語ではない。でもやっぱりものすごくおすすめではある本。 大手の支店で働く、男性の二谷に女性の芦川と押尾が主要人物。女性二人は対照的で、かわいく媚びる芦川に堅物な押尾。本音を話せる押尾とは寝ずに、心の奥底では軽蔑する芦川と寝る二谷。働き疲れる中食べる煩しさが凝縮されている。 押尾の「職場で同じ給料もらってて、なのにあの人は配慮されるのにこっちは配慮されない…」嘆きはもっともで。芦川が頭痛で早退し負担をかけた翌日、手作りのお菓子を持ってきたのには私までイラっとした。いいから休息しとけと。自宅通勤でお嬢様で人より恵まれている芦川の方が、残業続きの者より気遣われている歪さ。 でもこれは二谷と押尾の視点だからそう見えるだけで、職場ではムスッとしている押尾より、笑顔で差入れをする芦川の方が皆に好かれているのだろう。体調悪い人を気遣うのも、残業できる人がするのも当たり前。だからこそ二谷も押尾もやり場のない思いが溜まる。二谷が芦川を手酷く傷つける未来が見える。 一番怖かったのは、押尾が芦川のお菓子を捨てていた犯人と吊し上げられ退職を余儀なくされた送別会で(移動する二谷の送別会も兼ねた)芦川が手作りのホールケーキを持ってきたこと。ご丁寧にネームプレートまでつけて。あぁこの人は何もわかってないし変わらないのだと。あれは本気で怖かった。
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